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松江地方裁判所 平成8年(行ウ)2号 判決 1998年6月17日

島根県大田市鳥井町鳥井字皆地一一九七番地の二

原告

福田採石株式会社

右代表者代表取締役

福田盛乙

右訴訟代理人弁護士

錦織正二

島根県大田市大田町大田イ二八九-二

被告

石見大田税務署長 金田安弘

右指定代理人

内藤裕之

山﨑保彦

小林英樹

松井重利

松田亮

金森武彦

石黒秀寿

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求の趣旨

被告が平成五年七月三〇日付で原告の平成二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の法人税についてした更正及び無申告加算税の賦課決定をいずれも取り消す。

第二事案の概要

一  本件は、原告のした平成二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下「本件係争事業年度」という。)に係る法人税の確定申告に対し、被告が更正及び無申告加算税の賦課決定をしたところ、原告が、右更正は原告の所得を過大に認定したものであるから違法であり、これを前提とする右賦課決定も違法であると主張して、その取消しを求めた事案である。

二  前提事実(証拠の適示のない事実は当事者間に争いがない。)

1  原告は、昭和四二年に土木建築等を主たる事業目的として設立された法人であるが、昭和六二年二月、事業目的に石材及び砂利の採取並びに加工販売、砂、砕石の製造及び販売等を加え、昭和六四年一月から島根県出雲市古志町字湯舟四二〇〇番地一他所在の採石場(以下「本件採石場」という。)において、砕石の製造及び販売を営んでいる(以下、本件採石場で行われる砕石の製造及び販売事業を「本件砕石事業」という。)。

2  原告が本件採石事業を行うに至った経過は次のとおりである。

(一) 本件採石場は出雲市及び出雲市古志地区が所有する山林であるが、同山林は、昭和四六年に採石法三二条に定める採石業者として島根県知事の登録(島石第九八号)を受けたアツミ砕石株式会社(代表取締役は原告代表者の父である福田幸夫、以下「アツミ砕石」という。)が、同県知事から同法三三条による岩石の採取計画の認可を受け、採石場として利用していたものである。

(二) アツミ砕石は、昭和五七年九月二四日、松江地方裁判所出雲支部において破産宣告を受け(同支部昭和五七年(フ)第六号破産事件)、右破産手続における第一回債権者集会において、アツミ砕石の業務を福田幸夫の知人の経営する三木商事株式会社(代表取締役三木秀蔵、以下「三木商事」という。)に委託することにより本件採石事業を継続することが決議された。

その後、昭和五八年四月一一日に福田採石有限会社(代表取締役は原告代表者の兄で原告の取締役である福田順伍、以下「福田採石(有)」という。)が設立され、従来アツミ砕石が雇用していた従業員を福田採石(有)が継続して雇用することとし、以後、福田採石(有)が三木商事に従業員を派遣する形で本件採石事業が続けられた。(証人福田順伍及び弁論の全趣旨)

(三) 昭和五九年一二月二四日、アツミ砕石の強制和議が松江地方裁判所出雲支部により認可され(なお、アツミ砕石の前記破産事件における確定した破産債権の額は三億八六八八万九九九六円である。)、また、三木商事も前記受託業務から次第に手を引き、右業務の主体が福田採石(有)に移行しつつあったことから、昭和六〇年一月一日、福田採石(有)とアツミ砕石との間で、<1>アツミ砕石が採石法の業者登録及び三年ごとに更新される採取計画の認可を受けて有していた本件採石場において岩石を採取できる権利(以下「本件採掘権」という。)を福田採石(有)に使用させること、<2>福田採石(有)は、本件採掘権の使用料として、適時、アツミ砕石の債務を代位弁済すること、の二点を内容とする採掘権使用契約(以下「本件採掘権使用契約」といい、この契約に基づいて福田採石(有)が本件採石場において岩石を採取できる権利を「本件A採掘権」という。)が締結され、以後、福田採石(有)が本件採石場において本件採石事業を行うこととなった。(乙一〇、証人福田順伍及び弁論の全趣旨)

(四) 福田採石(有)は、本件採掘権使用契約に基づきアツミ砕石の債務を随時弁済し、会計帳簿上ではアツミ砕石への仮払金として経理処理していたが、その残高は、昭和六一年九月一日から昭和六二年八月三一日までの事業年度の末において三億六七五二万円余りとなっていた。

(五) このような事情もあって、福田採石(有)は資金繰りが逼迫し、昭和六三年一月に銀行取引停止処分を受けて事実上倒産した。そのため同社での本件採石事業の続行が不可能となったことから、原告は、昭和六四年一月一日、福田採石(有)との間で、<1>原告と福田採石(有)は、相互の利益と発展のために業務を提携することとし、双方、信義に基づき誠実にこれを実行する、<2>福田採石(有)は、その有する採石権の使用権及び一三三万二七一八トンの数量の範囲内での砕石の生産と販売に関する権利(本件A採掘権)を原告に使用させることを認める、<3>原告の販売に際して、原告が福田採石(有)の名称を使用することを認める、<4>(本件A採掘権の)使用料は、年間六〇〇〇万円とし、原告は福田採石(有)に対してその都度支払い、昭和六四年一二月三一日までに支払を終わるものとする、<5>本契約は有効期間を一年間とし、期間満了一か月前に終了の意思表示なきときは、さらに一年間自動延長するものとする、との内容の業務提携契約(以下「本件業務提携契約」という。)を締結し、原告が本件採石場において本件採石事業を行うこととなり、現在に至っている。

3  原告は、本件係争事業年度における法人税の確定申告に当たり、福田採石(有)の株式会社安黒商店(代表取締役安黒嘉宣、以下「安黒商店」という。)に対する債務二四九二万四〇五八円を採石料(以下「本件採石料」という。)として損金の額に算入し、また、本件事業提携契約に基づく本件A採掘権の使用料六〇〇〇万円を採掘権使用料(以下「本件採掘権使用料」という。)として損金の額に算入したうえ、平成四年八月三一日、欠損金額を一七三万二一三〇円、納付すべき法人税額を〇円と記載した確定申告書(以下「本件確定申告書」という。)を被告に提出した。(甲一の2、三、四の1、2及び弁論の全趣旨)

4  これに対して、被告は、平成五年七月三〇日付で、本件採石料は損金の額に算入することができないものであるとして、法人税法二二条の規定を適用して右採石料相当額を損金の額から減算し、所得金額を二三一九万一九二八円、納付すべき法人税額を七九三万六六〇〇円とする更正(以下「本件更正」という。)及び無申告加算税一一八万九五〇〇円の賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)を行った。

5  原告は、平成五年九月二八日、本件更正及び本件賦課決定につき被告に対して異議申立を行ったが、平成六年三月二五日に棄却決定がなされたので、同年四月二六日、国税不服審判所長に対して審査請求をしたところ、平成七年一二月二〇日に棄却裁決がなされた。

三  争点

本件更正及び本件賦課決定の適法性

1  被告の主張

(一) 本件更正の適法性

(1) 本件採石料は、福田採石(有)が安黒商店に対して支払うべき債務を原告が代位弁済し、その代位弁済額を原告が採石料の名目で損金処理したものである。したがって、本件採石料は、福田採石(有)に対する立替金若しくは仮払金さらには求償金として資産に計上されるべきものであって、損金の額に算入することはできない。

そして、本件においては、原告の求償権が当然に貸倒損失として認められるのではなく、原告がその求償権を放棄することを明らかにしたときに、その日の属する事業年度において初めて損金に算入できるものである。そうすると、原告は、本件係争事業年度において、本件採石料の名目により代位弁済したことにより取得した求償権を放棄した事実はないから、本件採石料が損金の額に算入できないことは明らかである。

(2) 仮に、債務者である福田採石(有)は事実上倒産しており原告へ弁済する能力がないというのであれば、原告は、福田採石(有)には原告の求償に応ずる能力がないことを承知した上で代位弁済を行ったことになり、この場合には原告が福田採石(有)に対して立替金若しくは仮払金さらには求償金という資産を贈与、すなわち寄付金を支出したことになる。そして、この寄付金はいわゆる一般的寄付金に該当するから、法人税三七条二項の規定により、同法施行令七三条で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は損金の額に算入されない。

また、仮に原告が福田採石(有)に対する求償権を事前に放棄していたとすれば、原告は初めから求償権を行使しないとの前提で代位弁済を行ったことが明白であるから、やはり本件採石料は福田採石(有)に対する資産の無償贈与たる寄付金となる。

(3) 仮に、本件採石料が本件A採掘権の使用料の一環として支払われたものであったとしても、次に述べる理由により、本件採石料二四九二万四〇五八円及び本件採掘権使用料六〇〇〇万円の合計八四九二万四〇五八円のうち本件係争事業年度の損金の額に算入することができるのは一六七九万二〇八二円であり、その余の部分を損金の額に算入することはできない。

<1> 本件採掘権使用契約の内容は、契約書の条項では明示されていないが、アツミ砕石の事業を承継した福田採石(有)が本件採掘権を取得し、その対価として福田採石(有)がアツミ砕石の和議債務を限度としてこれを代位弁済の方法によりアツミ砕石に支払うというものである。けだし、ある一定期間を区切って採掘権を使用させる場合には、その使用の対価として商取引上一般に妥当と認められる採掘権使用料の授受が行われることとなるが、本件採掘権の使用料は右にいう採掘権使用料とはその趣を異にし、その額はアツミ砕石の債務の総額とされ、その権利の内容は福田採石(有)が本件採石場において砕石を生産する権利を本件採掘権の存続する限り認める趣旨のものであるから、本件採掘権使用契約書上では採掘権の譲渡という文言は使われていないものの、その実質は、アツミ砕石の債務の総額を対価として福田採石(有)が本件採掘権を取得したものということができる。そして、右債務総額と福田採石(有)のアツミ砕石に対する昭和六二年八月末期の仮払金の総額がほぼ一致することからすると、福田採石(有)は、本件採掘権使用契約に基づく本件採掘権の対価に相当するアツミ砕石の債務をほぼ全額代位弁済したものと考えられる。

さらに、原告としては、福田採石(有)の事業を引き継いで継続していくためには同社の債務を負担することが必要不可欠であったが、弁済すべき債務の総額が不明であったため、福田採石(有)の繰越赤字の金額である三億六〇〇〇万円を弁済すべき債務の総額とし、年間六〇〇〇万円ずつ六年間で弁済するものとして、同金額を本件A採掘権の一年間の使用料として本件業務提携契約を締結したものである。そして、本件業務提携契約に基づき原告が取得する権利の内容は、一三三万二七一八トンの数量の範囲内で原告が本件採石場において砕石を生産する権利を本件採掘権の存続する限り認める趣旨のものであるから、契約書上では採掘権の譲渡という文言は使われてはいないものの、その実質は、福田採石(有)の繰越欠損金に相当する三億六〇〇〇万円を対価として原告が本件A採掘権を取得したものということができる。すなわち、本件業務提携契約の契約書の条項では明示されていないが、福田採石(有)の有する本件A採掘権すなわち本件採掘権を原告が取得し、その対価として原告は福田採石(有)の繰越欠損金に相当する三億六〇〇〇万円の債務を限度として、これをその都度弁済する方法により、福田採石(有)へ支払うものとされたのである。

一般に、法律上の形式と実際の経済的事象が異なる場合においては、現行税法は現実に発生した経済的成果、経済的利益に担税力を測定して課税するいわゆる「実質主義」を基本原則として採用しているから(法人税法一一条)、その解釈適用に当たっては、当事者の選択した法律上の形式にとらわれることなく、その行為によって実現を見た実質、経済的効果に対して税法的評価を行うべきであり、右実質主義の原則から判断すると、原告が支払った本件A採掘権の使用科名目の金員は、実質的には本件採掘権の取得の対価、すなわち減価償却資産たる鉱業権の取得の対価である。

<2> 本件採掘権は、法人税法二条二四号及び同法施行令一三条八号イに規定する鉱業用減価償却資産たる「採石権」に該当するから、これを償却するについては、その使用料名目の金員の総額を鉱業用減価償却資産の取得価格とし、法人税法二二条の規定により一般に公正妥当と認められる会計処理基準に従って減価償却費の額を計算しなければならない。しかるところ、本件業務提携契約では、原告の取得した本件採掘権の対価は三億六〇〇〇万円であるから、法人税法の定めるところに従い本件係争事業年度において損金の額に算入すべき減価償却費の額を計算するとすれば、次のとおり一六七九万二〇八二円となる。なお、原告は、本件採掘権の減価償却の方法を被告に届け出ていないから、法人税法施行令五三条二項により、生産高比例法によって償却費を計算することになる。

本件採掘権の取得価格

三億六〇〇〇万円

本件採掘権の残存価格

〇円

一トン当たりの減価償却費

三億六〇〇〇万円÷五三三万七五〇〇トン(採掘予定数量)=六七・四五円

平成二年四月から平成三年三月までの間の採掘実績

九万八六〇立方メートル×二・七四(比重)=二四万八九五六トン

減価償却費相当額

二四万八九五六トン×六七・四五円=一六七九万二〇八二円

<3> 仮にアツミ砕石が本件採掘権を福田採石(有)に使用させるというのであれば、いつでもこれを取り戻して自ら本件採石事業を営み得ることが前提になるところ、アツミ砕石は前記破産終結後事業を行っている実態はなく登記簿上で存続する法人にすぎないこと及び同社は本件採石事業を再開する見込みも全くないことから、同社が本件採掘権を自ら行使して本件採石事業を行う可能性は皆無に等しく、したがって、アツミ砕石の本件採掘権は、福田採石(有)に使用させるという名目で実質的には福田採石(有)に譲渡されたとみるべきである。

また、仮に原告が本件採掘権を使用して本件採石事業を行うのであれば、その前提として、新たにアツミ砕石と原告との間で本件採掘権の使用契約を締結すべきであるところ、そのような契約は締結されていない。それにもかかわらず原告が福田採石(有)との間の本件業務提携契約によって本件採石事業を行っているのは、アツミ砕石の本件採掘権が実質的に福田採石(有)に譲渡されたからである。

さらに、仮に福田採石(有)が本件採掘権を原告に使用させるというのであれば、いつでもこれを取り戻して自ら採石事業を営み得ることが前提になるが、福田採石(有)は前記のとおり事実上倒産した後事業を行っている実態はなく事業を再開する見込みは薄いこと及び同社が本件採掘権を自ら行使して本件採石事業を行う可能性も極めて乏しいことからすれば、福田採石(有)が有する本件採掘権は、原告に使用させるという名目で実質的には原告に譲渡されたとみるべきである。

<4> よって、仮に本件採石料が本件A採掘権の使用料の一環として支払われたものであったとしても、それは本件採掘権の取得の対価の内払金(前払金)というべきであるから、本件採石料二四九二万四〇五八円及び本件採掘権使用料六〇〇〇万円の合計八四九二万四〇五八円のうち本件係争事業年度において損金の額に算入することができるのは前記一六七九万二〇八二円であり、その余の部分を損金の額に算入することはできない。

(4) 以上のとおり、本件採石料を損金の額に算入することはできず、あるいは本件採掘権使用料と合わせて一六七九万二〇八二円の限度において損金の額に算入することができるにすぎないから、いずれにしても本件更正は適法である。

(二) 本件賦課決定の適法性

本件更正が適法であることは前記のとおりであり、原告が法定申告期限までに本件係争事業年度分の法人税の確定申告書を提出しなかったことについて、国税通則法六六条一項但書に規定する正当な理由がある場合には該当しないから、同法所定の計算方法に基づいて行った本件賦課決定も適法である。

2  原告の主張

(一) 本件の事実は次のとおりである。

アツミ砕石は昭和五七年九月二四日に破産宣告を受けたが、三木商事の業務代行により事業は継続され、結局強制和議が成立して会社として存続した。すなわち、アツミ砕石の有する本件採掘権はそれなりに価値のあるものであるが、他に譲渡できず、アツミ砕石だからこそ行使できるものであったため、これを活用する目的でアツミ砕石の強制和議が成立した。

ところが、三木商事の業務代行中、従業員の社会保険の問題が生じたため、昭和五八年四月に福田採石(有)が設立され、以後、福田採石(有)が三木商事の代行業務を次第に肩代りし、強制和議の成立後は右肩代りもかなり進んだので、昭和六〇年一月一日にアツミ砕石と本件採掘権使用契約を締結した。したがって、本件採掘権使用契約はあくまで三木商事の行っていた代行業務を引き継ぐ趣旨であり、ここに定める使用料とは、アツミ砕石の債務(前記和議債務の他に採石事業を継続するために弁済の必要な債務)を必要に応じ福田採石(有)が採石事業の売上の中から弁済していくというものであった。

ところが、福田採石(有)も昭和六三年一月に事実上倒産し債務整理を行うことになったので、原告が本件業務提携契約に基づき、福田採石(有)の行っていたアツミ砕石の業務代行を引き継いだ。その際、原告は、アツミ砕石の債務、福田採石(有)がアツミ砕石の債務を借入金や約束手形で支払ったために生じた債務及びその他本件採石事業を継続するのに必要な右両者の債務の支払のための資金を採掘権使用料の名目で福田採石(有)に支払うこととした。

しかし、右金額も多額では支払ができなくなるので、一応年間六〇〇〇万円とし、福田採石(有)がその債務弁済額を年間六〇〇〇万円以内となるように債権者と交渉してその債務整理を行うこととした。要するに、右六〇〇〇万円は、原告の本件採石事業からの売上と福田採石(有)の債務整理の双方を考慮し支払の上限として設定したのであって、支払期間については特に定めず、右債務整理の目処がほぼつく時期ないしは弁済資金が六〇〇〇万円を大きく下回るようになったころに再検討が予定されているというかなり流動的なものであった。

(二) 被告の主張(一)(1)について

(1) 原告は、本件採石料を本件業務提携契約に基づく本件採掘権の使用料として支払ったのであり、右契約と無関係に福田採石(有)の債務を支払う(実質上は代位弁済)ことは一切なかった。原告としては、本件採石事業を継続するために必要な福田採石(有)の債務の弁済には協力しているが、それ以外について支払う理由はない。

(2) 仮に本件採石料の支払を立替金若しくは仮払金さらには求償金として処理すべきであるとしても、債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになれば、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理ができるところ、債務者である福田採石(有)は事実上倒産しており原告へ弁済する能力がないことは明らかである。よって、原告は、右立替金等を貸倒れとして損金処理することができる。

また、仮に求償権の放棄を要するとしても、本件業務提携契約を解釈すれば当然に求償はしないことを含んでおり、したがって、求償権の放棄もなされているといえる。

(三) 被告の主張(一)(2)について

被告の主張する寄付金とは、何らの代償や対価も求めない支出であるところ、本件は原告が本件採石事業を行うためという代償が伴っているので、寄付金でないことは明らかである。

(四) 被告の主張(一)(3)について

(1) 本件採掘権の資産性について

本件採石場は、大半が出雲市所有の公有林であることから、アツミ砕石と出雲市が出雲市公有林採石契約を締結しているが、この契約は契約期間が三年間であったり一年間であったりする上、期間満了時ごとに新たな契約を締結しているもので、契約の更新を一応前提とはしているものの、必ず更新される保証はなく、アツミ砕石が県知事の認可の手続や出雲市との契約の更新手続をなさなかったならばたちまち権利は消滅する。また、この契約により生じたアツミ砕石の権利は譲渡が禁止されている。他方、採石法における採石権は物権とされ、地上権の規定の準用により譲渡も登記も可能とされていることからすると、アツミ砕石の本件採掘権は物権としての採石権とはいえない。

また、アツミ砕石を含む四業者は地元住民代表及び出雲市と採石対策協議会を結成し、地元住民及び出雲市との関係で種々の活動をしており、アツミ砕石を含む四業者以外の業者が本件採石場で採石事業を行うことは事実上不可能であることを考え併せると、アツミ採石の本件採掘権は被告の主張するような減価償却の対象となる資産というにはあまりに弱い権利であり、出雲市との契約から生ずる債権的権利でしかない。

(2) 本件採掘権の譲渡について

本件採掘権が本件業務提携契約によって譲渡されたといえるためには、福田採石(有)が本件採掘権を確定的に失い原告が本件採掘権を確定的に取得すること及び譲渡代金が確定しておりその支払方法が定められていることが必要である。

<1> しかしながら、福田採石(有)は、アツミ砕石を存続させるために本件採掘権を使用する目的で設立されたもので、アツミ砕石の権利を譲り受けるために設立されたものではない。そして、福田採石(有)が事実上倒産した後は原告が福田採石(有)の役割を引き継いだものであって、本件採掘権そのものはアツミ砕石が有していることを当然の前提としていた。

また、本件採掘権はアツミ砕石と出雲市との採石契約において譲渡が禁止されているから、アツミ砕石と福田採石(有)との間で譲渡できるのかそもそも疑問があるし、仮に譲渡されたとすると、その後は福田採石(有)の権利として同社の名前で権利行使できるはずであるが、その後も島根県知事の認可、出雲市との契約及び地元住民との折衝は全てアツミ砕石によってなされており、福田採石(有)の、名称はどこにも出てこない。

さらに、アツミ砕石も福田採石(有)もある程度の事業は行っており、しかも、将来的に両者いずれかが採石事業を再開する可能性はある。原告は、あくまでアツミ砕石の本件採掘権が失われず、それが継続することを目的として営業しており、右目的が達成若しくは達成見込となれば、本件採掘権の使用を終了し、アツミ砕石ないしは福田採石(有)が再び本件採掘権を行使することが当然に予定されている。

<2> また、原告は、本件業務提携契約締結後今日まで本件採掘権を使用して本件採石事業を行っており、そのため原告としては、福田採石(有)の負債のうち本件採石事業を継続していくために必要な負債及びアツミ砕石の負債を継続して弁済してきたし、今後もそのようにしていくのであって、三億六〇〇〇万円払えば全て終わりとなるわけではない。福田採石(有)の繰越赤字の金額である三億六〇〇〇万円が譲渡代金であり、年間六〇〇〇万円、六年間の分割支払が支払条件である旨の契約書等もなければ口頭での約束もなされておらず、そのような事実は一切ない。

(3) 仮に原告が福田採石(有)の負債のうちで採掘を継続するに必要な負債の一部でも代位弁済を行わなければ、たちまち本件採石事業の継続は不可能となる。したがって、原告の右代位弁済すなわち原告の福田採石(有)に対する採掘権使用料の支払は、原告が本件採石事業を継続するために必要不可欠なものであり、損金として処理すべきは当然である。また、このような支出である本件採掘権使用料を全額損金扱いせず、益金と判断して課税されるとするなら、税金を支払う原資が原告には存在せず、これがために原告が倒産することも明らかである。

第三争点に対する判断

一  前記前提事実に証拠(甲一の1、2、二、三、四の1、2、六ないし一三、一五ないし一八、一九の1ないし3、二〇の1ないし3、二二、乙一ないし三、九ないし一三、証人福田順伍、同福田幸夫、原告代表者)及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実を認めることができる。

1  アツミ砕石が昭和五七年九月に破産宣告を受けた後、三木商事はアツミ砕石の採石事業を代行しながら、アツミ砕石の債務の弁済及び機械設備・什器・車両の代金・リース料、諸経費等本件採石事業を継続するために必要な支払を手形の振出しによって行っていた。

2  アツミ砕石の破産後は、同社の従業員は三木商事が雇用するという形をとっていたが、社会保険の関係でトラブルが生じたため、昭和五八年四月に福田採石(有)を設立し、同社がアツミ砕石の従業員を引き継いで雇用し、昭和五九年夏ころから自ら手形を振り出して、本件採石事業を継続するために必要な前記支払を行うとともに、三木商事が振り出していた前記手形(昭和五九年夏当時の総額は約一億五〇〇〇万円)を順次福田採石(有)振出の手形に切替えていった。

3  アツミ砕石はいずれ本件採石事業を再開する意向であったことから強制和議を提供し、昭和五九年一二月に前記のとおり強制和議が認可された。そして、三木商事が業務代行から次第に手を引き福田採石(有)が代行業務のかなりの部分を行うようになっていた昭和六〇年一月一日、福田採石(有)はアツミ砕石との間で本件採掘使用契約を締結し、以後、福田採石(有)が三木商事の代行業務を引き継ぐとともに、アツミ砕石に対する採掘権使用権使用料の名目で、売上の中から適時右和議債務を含むアツミ砕石の債務を弁済することとした。しかし、福田採石(有)は、右アツミ砕石の債務及び前記自らの債務の返済負担に加え売上不振が重なったため高利金融や融通手形による資金繰りを繰り返し、そのため負債額がさらに増加し、昭和六三年一月には二度目の手形不渡りを出して銀行取引停止処分を受け、事実上倒産した。右倒産時点の福田採石(有)の負債総額は、後に、三木商事振出の手形の切替分も含め約一五億円に達していたことが判明した。

4  福田採石(有)の事実上の倒産により同社での本件採石事業の続行が不可能となったので、原告が直ちに福田採石(有)の従業員及び本件採石事業を引き継ぎ、福田採石(有)は債権者との返済交渉及びこれに基づく負債整理に専念することとなった。ただ、原告が福田採石(有)の本件採石事業を引き継ぎ、ひいてはアツミ砕石が本件採石事業を再開するためには、福田採石(有)及びアツミ砕石の債務が弁済されることが必要不可欠であったので、原告は、売上の中から右債務の弁済資金を採掘権使用料の名目で随時福田採石(有)に支払うこととし、この関係を書面化するため、昭和六四年一月一日、福田採石(有)との間で本件業務提携契約を締結し、原告が採掘権使用料として年間六〇〇〇万円を福田採石(有)に支払い、福田採石(有)はその中から自らの債務及びアツミ砕石の債務を弁済していくこととした。

右のとおり、年間六〇〇〇万円という採掘権使用料は福田採石(有)及びアツミ砕石の債務の弁済資金に充てられることになっていたが、本件業務提携契約当時には福田採石(有)の実際の負債総額が明確に把握できなかったので、原告の支払能力も考慮の上、税理士の指導により福田採石(有)の倒産当時の帳簿上の繰越赤字約三億六〇〇〇万円を六年間に分割して代位弁済するとの考え方のもとに決められたものである。なお、当業界に採掘権使用料としての一般的な相場があるわけではなかった。

5  島根県知事による本件採石場における岩石採取計画の認可及び出雲市との公有林採石契約は、アツミ砕石の破産宣告後現在に至るまでアツミ砕石の名義で更新されており、また、地元住民の代表、出雲市及び採石業者で組織する地区の採石対策協議会にもアツミ砕石の代表取締役の福田幸夫がアツミ砕石の名前で参加している。

6  ところで、福田採石(有)は、昭和六三年八月一日、「福田採石(有)の昭和六三年八月一日現在の安黒商店に対する未払金(金銭消費貸借の未払金及び部品代)は二七五〇万四四三七円であり、これらは昭和六四年度内を目処に完済することとする。」旨が記載され、原告とともに署名捺印した「未払いに関する契約書」と題する書面(乙一一の1)を安黒商店に差入れた。

7  安黒商店は、福田採石(有)が右債務を履行しないため、平成元年、福田採石(有)を被告として神戸地方裁判所龍野支部に右債務の履行を求める訴えを提起し(同支部平成元年ワ第三一号)、右訴訟における平成二年三月一六日の第三回口頭弁論期日において、<1>福田採石(有)は安黒商店に対し二五〇二万四〇五八円の支払義務があることを認めること、<2>福田順伍及び福田幸夫が利害関係人として福田採石(有)の右債務を連帯保証すること、<3>福田採石(有)及び右利害関係人両名は、右金員を連帯して平成二年四月より平成七年三月まで一〇万円、平成七年四月より平成八年三月まで二〇万円、平成八年四月より平成九年三月まで二五万円、平成九年四月より平成一〇年三月まで三〇万円、平成一〇年四月より平成一一年三月まで四〇万円、平成一一年四月より平成一二年二月まで五〇万円(但し最終月は二二万四〇五八円)ずつ毎月分割して支払うこと、<4>安黒商店は福田採石(有)に対するその余の請求を放棄すること等を内容とする訴訟上の和解が成立した(これに基づく福田採石(有)の債務を以下「本件和解債務」という。)。

8  原告は、福田採石(有)の安黒商店に対する本件和解債務の代位弁済として、平成二年四月二七日、同年七月三一日、同年八月三一日、同年九月二八日、同年一〇月三一日、同年一一月二九日及び同年一二月二八日にそれぞれ一〇万円ずつ合計七〇万円を支払った。

9  原告は、平成二年一二月三一日付で、本件和解債務の額から右既払額の一部である一〇万円を控除した二四九二万四〇五八円を、本件係争事業年度の総勘定元帳の「採石料」勘定に「安黒商店プラント修理」として計上するとともに、同額を同総勘定元帳の「平成2年損益計算」中の「採石料」欄に計上し、さらに、本件確定申告書添付の損益計算書附属製造原価報告書の「採石料」欄にも同額を計上した。

これとは別に原告は、本件業務提携契約に基づく本件係争事業年度の採掘権使用料六〇〇〇万円(本件採掘権使用料)を、本件係争事業年度の総勘定元帳の「平成2年損益計算」中の「採掘権使用料」欄に計上し、同額を本件確定申告書添付の損益計算書附属製造原価報告書の「採掘権使用料」欄にも計上した。

10  本件業務提携契約の締結後、原告からの採掘権使用料を原資とする債務の弁済が続けられ、アツミ砕石の前記和議債務は平成九年九月ころに完済されたが、安黒商店に対する本件和解債務をはじめ取引先・金融機関等に対する債務の弁済は現在も続けられている。現時点における原告からの採掘権使用料を原資とする債務の弁済額は、アツミ砕石の和議債務を含め合計六億円以上に達している。

二1  前記認定によれば、本件採石料のうち現実に支払われたのは六〇万円であり、かつ、これは福田採石(有)の債務を原告が代位弁済したものであるから、原告としては、右六〇万円を福田採石(有)に対する立替金ないし仮払金として資産に計上すべきである。

そして、福田採石(有)は、昭和六三年一月に事実上倒産し営業活動を停止したものの、本件業務提携契約に基づき原告から毎年六〇〇〇万円の採掘権使用料の支払を受け、これを原資に現在に至るまで各債権者に債務の弁済を継続しており、その額は現時点で合計六億円以上に達するという事実に照らすと、原告としては、将来、福田採石(有)から現実の支払を受けるか又は採掘権使用料の支払債務と相殺することによって福田採石(有)に対する右六〇万円の求償金債権を回収することが可能であると認められる。

そうすると、本件係争事業年度の決算期において、福田採石(有)の資産状況、支払能力等からみて右六〇万円の求償金債権の全額が回収できないことが明らかになったとはいえず、また、原告が福田採石(有)に対する求償金債権を放棄した事実を認めるに足りる証拠もないから、右六〇万円の求償金債権を本件係争事業年度において貸倒処理することはできないというべきである(法人税基本通達九―六―一、同九―六―二参照。)。

2  また、本件採石料のうち現実に支払われていない二四三二万四〇五八円は、あくまで福田採石(有)の債務であって、これを現実に弁済しない段階で直ちに損金の額に算入する余地はないというべきである。また、仮に原告が右債務を保証又は連帯保証した事実があったとしても、それだけでは直ちに損金の額に算入することはできないことも明らかである(法人税基本通達九―六―二注書参照)。

三  原告は、本件採石料は採掘権使用料として支払う旨を主張し、原告代表者も、昭和六四年一月一日付「業務提携契約書に関する覚書」と題する書面(甲二三。以下「本件覚書」という。)を根拠に、採掘権使用料は年度により六〇〇〇万円を上下変動することが予定されており、本件採石料は採掘権使用料として支払った旨供述する。

1  本件覚書には、原告代表者本人の供述するとおり、本件業務提携契約に定める採掘権使用料の六〇〇〇万円は一応の目標額であり、支払が六〇〇〇万円以下であっても六〇〇〇万円以上であっても、契約の金額を固守することなく原告の代位弁済した金額を採掘権使用料とする旨が記載されている(甲二三)。

しかし、<1>本件業務提携契約書には「採掘権使用料は年間六〇〇〇万円とする」旨定めながら、同日付の本件覚書においてこれと矛盾抵触するかのような条項を設けること自体不自然であること、<2>仮に本件業務提携契約の締結当時に本件覚書が存在していたとすれば、採掘権使用料として当初から六〇〇〇万円に本件採石料を加えた金額を計上するのが自然であると考えられるところ、前記認定のとおり、原告の本件係争事業年度の総勘定元帳には本件採石料と本件採掘権使用料がそれぞれの科目に別個に計上され、本件確定申告書添付の損益計算書附属製造原価報告書にも採掘権使用料として六〇〇〇万円のみが計上されており、さらに証拠(甲一の2、三)によれば、原告が平成四年七月一日に被告に提出した翌事業年度の法人税の確定申告書添付の損益計算書附属製造原価報告書にも採掘権使用料として六〇〇〇万円のみが計上され、右製造原価報告書に添附された採掘権使用料についての説明書には、「採掘権使用料六〇〇〇万円は、倒産した福田採石(有)に支払い、福田採石(有)は債務弁済及び出雲市に対する採掘料他の経費に充てている。そのようにしないと、請求人(原告)の営業の持続が困難なためである。」と記載されていることが窺われること、<3>仮に本件業務提携契約の締結当時に本件覚書が存在していたとすれば、本件更正及び本件賦課決定に先立つ税務調査の段階で本件覚書を被告に提出してその存在を主張するのが自然であるとも考えられるところ、右証拠によれば、本件覚書は原告の異議申立後の平成五年一〇月二六日になって初めて異議審査庁たる被告に提出され、しかも、本件確定申告書を作成した税理士は、異議審理の調査担当者に対して、本件確定申告書を作成する際には本件覚書の存在を知らなかった旨述べていることが認められること、<4>原告代表者は本件覚書の作成時期につき、平成六年一月二五日の異議審理の調査担当の聴取に対しては昭和六四年一月の上旬、中旬ころと述べていたが(乙一四)、本件訴訟の原告代表者尋問においては本件覚書の日付から半年くらい後である旨供述しており、この点に関する原告代表者の供述はあいまいであること、<5>本件業務提携契約書の第四条は「本契約は、有効期間を一年間とし、期間満了一か月前に終了の意思表示なきときはさらに一年間自動延長するものとする。」と定め(甲二二、乙三)、本件覚書の第三条も、「昭和六四年一月一日の業務提携契約書の第四条で一年間契約とあるが、更新の際にこの覚書もさらに自動延長するものとする。」と定めているところ(甲二三)、原告は、昭和六四年一月一日、平成二年一月一日、平成三年一月一日及び平成四年一月一日付の各業務提携契約書を保存していながら、業務提携契約に関する覚書については本件覚書しか存在しないこと(甲一の2、乙四ないし六、一四)などの事情に照らすと、本件覚書は、本件業務提携契約当時はもちろん本件確定申告書の作成時にも存在していたものとは認め難く、むしろそれ以後に作成されたものと推認しうる。

そうすると、本件業務提携契約において合意された採掘権使用料は年間六〇〇〇万円であると認められるから、本件採石料が採掘権使用料として支払われたと認めることはできない。よって、原告代表者の前記供述は採用し得ない。

2  そして、前記認定のとおり、原告が福田採石(有)に支払う採掘権使用料は、結局、原告が本件採石事業を継続するために必要不可欠であるところの福田採石(有)及びアツミ砕石の債務の弁済資金として支払われるものであり、その限りでは本件採石料と実質的に目的・性質を同じくするものではあるが、本件業務提携契約において年間六〇〇〇万円を採掘権使用料として支払う旨合意されたのであるから、仮に法人税法上これを採掘権使用料として損金の額に算入することが認められるとしても、その額は年間六〇〇〇万円の範囲内に止まる(なお、当業界において採掘権使用料としての一般的な相場というものは存在しないことは前記認定のとおりであり、また、法人税法二二条四項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従って計算した場合の本件の採掘権使用料が年間六〇〇〇万円を超えると認めるに足りる証拠もない。)。

したがって、原告の支払う福田採石(有)の債務の弁済資金のうち六〇〇〇万円を超える部分(本件採石料)については、前記判示のとおり、その本来の性質上立替金若しくは仮払金などとして処理されるべきものであって、法人税法上これを損金の額に算入することはできないと解される。

3  よって、本件採石料の損金の額への算入を否認した本件更正は適法である。

また、原告が法定申告期限を経過した平成四年八月三一日に本件確定申告書を被告に提出したことは前記前提事実のとおりであり、かつ、本件更正が適法であることは前記判示のとおりであるから、これらを前提とする本件賦課決定も適法である。

四  以上のとおり、原告の本訴請求は、その余の点を判断するまでもなく理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 辻川昭 裁判官 次田和明 裁判官飯田恭示は転勤のため署名捺印することができない。裁判長裁判官 辻川昭)

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